豊和鍛工流・ISO勉強会:第7回「ルールの共有と証拠の保管 〜文書と記録の正しい付き合い方〜」


パッと見て分かりやすいように、スライド資料も作りました。
ぜひ参考にしてください。(スライドは、notebookLMで作成しました)




前回は私たちの「力量(スキル)」をどう育て、守っていくかについて学びました。

プロの技を支えるためには、確かな「ルール」と、仕事をした「証拠」が必要です 。

第7回は、ISOで最も「面倒くさい」と思われがちな、しかし最も大切な「文書(ぶんしょ)」と「記録(きろく)」について解説します。



1. マニュアルにはこう書いてあります:文書化した情報

私たちのIMSマニュアルの「7.5 文書化した情報」では、会社を運営するために必要な情報の扱いを定めています 。

ISOの世界では、これらを大きく2つに分けて考えます。

  • 「文書(維持すべき情報)」:ルール・決まりごと
    • 「どうやるか?」を示すもの。
      作業手順書、図面、仕様書、品質方針などがこれに当たります 。
      常に最新の状態にしておかなければなりません 。
  • 「記録(保持すべき情報)」:結果・証拠
    • 「どうやったか?」を示すもの。
      作業日報、検査成績書、教育の記録、点検表などがこれに当たります 。
      一度書いたら、勝手に書き換えてはいけない「事実」の証明です 。

マニュアルには、これらを「必要なときに、必要な人が、すぐに使える状態」にしておくこと、そして「間違って書き換わったり、失くしたりしないように守ること」が義務付けられています 。



2. 豊和鍛工の「文書のピラミッド」

豊和鍛工のルールは、次のような4つの階層で整理されています

  1. IMSマニュアル
    豊和鍛工のISOの全体像を決めた一番上のルール 。
  2. 規定・要領書
    部門ごとの具体的な管理ルール(例:購買管理規定、内部監査規定) 。
  3. 現場ツール(QC工程表・手順書・図面)
    皆さんが現場で毎日見る、作業の具体的なガイドライン 。
  4. 記録(帳票)
    日々記入する、作業の結果報告書 。



3. 具体的に、現場の私たちは何をすればいいの?

「文書管理」は事務局の仕事だけではありません。
現場の皆さんに徹底してほしいポイントは3つです。

① 必ず「最新版」を使う

ISOの不適合(ミス)で一番多いのが、「古い図面で作業してしまった」「改訂前の手順書を見ていた」というものです

  • アクション:作業台にある手順書やバインダーの版数(版数 11など)が、最新のものか確認する癖をつけましょう 。

② 記録は「その場で、正確に」書く

後でまとめて書こうとすると、記憶が曖昧になり、間違いのもとになります

  • アクション
    数値、日付、氏名を漏れなく記入してください。
    空欄のままにしておくと、「作業をしていない」とみなされることがあります 。

③ 修正はルール通りに行う

記録は「証拠」なので、修正液で消すのはNGです。

  • アクション
    間違えたら二重線を引き、訂正印(またはサイン)を押して、正しい情報を書き込みます。
    「いつ、誰が直したか」をハッキリさせることが大切です。



4. 今回のまとめ:作成・確認する帳票

私たちが正しくルールを守り、証拠を残していることを証明する書類です。

  • 文書・記録管理規定
    文書や記録を何年保存するか、どうやって捨てるかを決めたルールブックです 。
  • 作業日報・検査記録表
    これが皆さんの「仕事の品質」を証明する一番の証拠になります 。
  • QC工程表
    どの工程でどの記録を書くべきかが指示されています 。



先輩マネージャーより一言

現場で働くあなたにとって、作業中にペンを持って記録を書くのは大変なことだと理解しています。しかし、ISOの記録は「あなた自身を守るための盾」でもあります 。

万が一、お客様から「この製品に傷がある」と言われたとき、私たちの手元に「ルール通りに検査し、合格した」という正確な記録があれば、堂々と説明ができます

逆に、記録がなければ、どんなに一生懸命作っていても、私たちの正しさを証明することができません

「記録は面倒な作業」ではなく、「自分の仕事のプライドを残す作業」だと考えてみてください。

次回、第8回は「品質は工程で作る!『現場の運用』」です。
いよいよ型鍛造の現場で、具体的にどう品質をコントロールしているのか、その心臓部に迫ります 。



次回の勉強会に向けて:

現場にある手順書やチェックリストを見て、「この項目、今の作業に合ってないな」「もっと書きやすくできるのに」と思うことはありませんか?

第10回の「改善」でその声が必要になります。ぜひメモしておいてくださいね。

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